本大学には、必修授業で調理学実習に毎週、取り組んでいる人がいます。え、高校までではなかったの!と思ったそこのあなた!つい先日、全必修課程が修了した私から、みなさまにその全貌を徹底解説します。第1回4月21日「朝食・ブランチ」、第2回4月28日「昼食」、第4回5月12日「春の会席献立」、第8回6月9日「ディナー 1」、第9回6月16日「ディナー2」、第10回6月23日「夏の会席献立」、第11回6月30日「飲茶」、第12回7月7日「中国料理おもてなし」さあ、どれから見ましょう。
Webページ作成にあたっては、すべて自分の言葉で情報を伝えたい、その思いから、授業を通して学んだことや興味深かった発見、気づきや大切にしたいと感じたことを、丁寧に書きました。ふらっとこのWebページに立ち寄ってくれた人を飽きさせない。「徹底解説 調理学実習なに学ぶ?」、ぜひお楽しみください。
黄味そうめん
吸物は、酒の肴として汁物で味もうすく、すまし仕立てが一般的です。今回の黄味そうめんも、一番だし汁のお味が効いたやさしいお味をしているなと感じました。卵が貴重であった時代、重要なたんぱく質、栄養源として卵が重宝されていたことを伺い、この卵黄をふんだんに使用したこのお吸い物がどんなに特別であることかをひしひしと感じました。錦糸卵や卵豆腐など、和食にはさまざまな卵の特徴を活かしたお料理があるけれど、黄味そうめんもまたその一つであると感じました。
春山かまぼこ・手綱黄味し・空豆のひすい煮
口取は、三品以上五品、七品と奇数に盛るもので、献立の「山」といえるものです。動物性のものを主に、植物性のものも用いて、材料、調理法、味、色などに変化を持たせます。大きめお皿に山水に見立ててすっきりと盛ることが特徴で、今回も春山かまぼこ、手鞠黄味ずし、そらまめのひすい煮をほんの少しずつ盛り合わせました。調理手法が重ならないように、また食品が重複しないように気を遣われた三品は、それぞれ少しずつとっていただくことで最初から最後まで味わえました。
甘鯛の桜蒸し / かしわ蒸し
鉢魚は、焼き物を人数分一鉢に持ったことからきた名称とのことを伺い、今回は1人分ずつ、一品ずつ供されただけに、何と豪華であったことだろうかと想像しました。主な肴のお味を引き立たせるために前森を手前に添えることから、みょうがたけを甘酢につけたものも一緒に頂きました。甘鯛を縁起のよい観音開きにし練りみそを付けて塩漬けにした桜の葉で美しく包まれている、鮮やかな甘鯛の紅色とみょうがたけの紅色がとてもよく合い、お味もときどき合わせて食べることで、まだ飲んだことはないけれど、お酒が進むような気がしました。
たき合せ(鯛の子)
煮物は、野菜、肴、肉類の切り方、色彩などを考えて美しく煮たものを盛り合わせ、煮汁も注ぎ、その上には天盛りも必ずのせます。天盛りは今回の七味唐辛子のように、全体の色調のバランスを整え、盛り付けを美しくするだけではなく、季節の風情を感じさせ、味を一層引き立たせる役割があるのだな、と感じました。食材を一並べできる鍋に食材と同じくらいの分量のひたひたの水で煮立てることが大切でした。また、少ない煮汁でも材料に行き渡る用、落とし蓋をして煮ることも忘れずにしました。
たき合せ(新じゃがいも)
サイズの小さい新じゃがいもは今回のような炊き合わせにするととても品があって綺麗だなと感じました。鯛の子、ふき、新じゃがいもと、それぞれの食材に合わせた調理方法で煮立てているけれど、肉じゃがに入っているようなコクのあるお味がしました。これは煮立てる前に一度、サラダ油を入れて弱火で5分ほど炒めていたために、油の膜ができ照りとまよらかさが付与されたためなのかな、と感じました。
たき合せ(ふき)
ふきの煮物はまず、たっぷりの湯で青く塩ゆでしたあと、みずにとり、あくを抜きながら皮をむきます。ふきは多くの食物繊維やカリウムを含んでいるだけに、皮は固く煮物には不向きです。そのため塩ゆでの行程を終えたら調味をする前に、皮を剥くことを忘れずにしました。ふきは、ポリフェノールによる特徴的な香りや苦みの成分が注目されていて、抗酸化作用により、動脈硬化といった生活習慣病の予防や老化を防ぐことが大切であると感じました。
木の芽和え / アスパラガスのすりごましょうゆ
小丼は、酢の物、和え物、浸し物など、他の料理との調和を考え、それまでの料理を引き立たせ、最後に口中をさっぱりさせるはたらきがあります。盛り付けは中高く盛り、上に天盛りをのせ引きしめます。木の芽和えは今回初めていただきましたが、木の芽みそ、白練りみその甘味とだし汁のうまみが相乗効果を起こしとても美味しかったです。ゆでたけのこのキュッキュッと言う食感と、いかのプリプリ感、そしてうどの歯ごたえのある感じと、それぞれの食感を楽しみながら、いただくことができました。
かつおすり流し汁/ 三州味噌汁
止め椀は、料理の最後に出される汁物で、香の物とともに飯の菜となり、みそ汁が出されることが多いとのことでした。すり流し汁は、離乳食や高齢者向けの食事にも良く使われる献立であるだけに、咀嚼・嚥下の能力によらず、安全に美味しく食べられるな、と感じました。「みそ汁肺炎」と称されることもあるほどに、異なるテクスチャーの食べ物がまざっている料理では危険性が高まります。魚のすり身をお味噌とあわせだし汁が加えられることで、適度の粘稠性があり安全になるので、栄養的にも味の面からも優れた一品であったと感じました。
桜餅・石州もち
道明寺粉は、大阪・藤井寺市にある道明寺という尼寺に由来するとのことで、このお寺では、もち米を蒸して干した「道明寺糒(ほしい)」が作られており、水やお湯を注ぐのみで柔らかくなるので保存食として重宝されたとのことでした。私は小さいころは、なめらかな舌触りの関東風の桜餅のほうが好んで食べていたけれど、大きくなると、お米をすりつぶしたような食感や、あんことの相性もとてもよいことから、道明寺もちが大好きになりました。今回の実習でも、その由縁を教えていただきながら調理できて、もっと自分でも調べてみたくなりました。